実施報告:上映会と呉美保監督特別講演を開催しました
大学院教育推進機構リカレント教育推進部は、8月24日(日)上映会と呉美保監督特別講演を、学術交流会館大講堂で開催しました。本イベントには191人が来場しました。

リカレント教育推進部は、今年度、札幌市の令和7年度大学と民間企業等との連携による公益的事業の推進事業補助金の採択を受け「札幌市の劇団他と連携した「共生を支えるコミュニティマネージャー」養成事業」を実施しています。今年10月には「共生を支えるコミュニティマネージャー養成事業」を開講します。今回の上映会と特別講演は、そのキックオフにあたります。

開会の挨拶に続いて、秋元克広札幌市市長からのメッセージが読み上げられました。札幌市が、文化や教育の力を活かしながら、誰もが安心して暮らすことができる共生のまちづくりを進めていくこと。今年4月の、障がいの有無、年齢、性別、国籍などにかかわらず、誰もがその個性を尊重され、能力を発揮できる、多様性と包摂性が強みとなる共生社会の実現を目指す「誰もがつながり合う共生のまちづくり条例(愛称:つながるさっぽろ条例)」の施行が紹介されました。
上映作品『ぼくが生きてる、ふたつの世界』は、耳がきこえない・きこえにくい親を持つ、耳のきこえる子ども「コーダ(CODA)」の葛藤を繊細に描いた作品です。本作品は、今年6月、第34回日本批評家大賞 作品賞、および、主演男優賞(吉沢亮)、助演女優賞(忍足亜希子)、編集賞(田端華子)の4冠を受賞しています。

[c]五十嵐大/幻冬舎 [c]2024「ぼくが生きてる、ふたつの世界」製作委員会
上映会の終了後、本作の監督・呉美保氏に、映画に込めた想いや、異なる立場の人びとが共に生きること、映画監督の仕事についてお話ししていただきました。呉監督には「ろう者の役者さんをキャスティングした理由は?」「映画制作における根幹となるテーマは?」「聞こえる世界と聞こえない世界、二つの世界の違いを感じたことはありますか?」といった、参加者から事前に集めた質問に答えていただきました。9月に公開予定の、呉監督の最新作「ふつうの子ども」の話題から「ふつうとは何か」について語る時間もありました。

来場者からは「映画のクオリティが非常に高かった。ろう者の方とは日常では関わりがないのだが、リアリティを持って知ることができたように思う。手話も1つの言語であり、覚えることで世界が広がるのだろうと感じた。手話に方言があることを今日初めて知り興味深かった。また上映後に呉監督のお話を伺うことができ、映画のクオリティとリアリティが高いものとなった背景を知ることできてためになった」「映画は、コーダの話というより、一人の人の生き方、考え方が、まわりの人と関わりによって変わる話だと感じました。呉さんの話を聞いて、とても丁寧に作られた作品だとわかりました。人それぞれに違った環境で育っているのでいろんな考えがあっていいんだと思いました」といった感想が寄せられました。

講演後は、リカレント教育推進部と8月に募集を開始した「共生を支えるコミュニティマネージャー養成プログラム」(ささプロ)についての説明会の時間をとり、約3時間15分の上映会と特別講演は幕を閉じました。
「共生を支えるコミュニティマネージャー養成プログラム(通称:ささプロ)」では、プログラムの開講に先立ち、オンデマンド講義の一部をYouTubeにて無料限定公開しています。詳細はこちらをクリック。また、オンライン説明会の様子をオンデマンドで配信しています。