網塚浩
北海道大学 理事・副学長/教育イノベーション機構 機構長
北海道大学では、社会人が必要な時期に学び、新たな知識や技術、視座や教養を身につけることができるよう、これまで多様なリカレント教育プログラムの整備を進めてまいりました。学内の教職員に加え、地域社会、企業、自治体、他大学など多くの皆様のご協力により、学びの機会と支援体制は着実に広がっています。関係する皆様に心より御礼申し上げます。
今日、社会や産業の変化は一層速さを増しており、大学に求められる役割は、単に知識や技術を提供することにとどまりません。研究を通じて蓄積された人的ネットワークや施設・設備を社会と共有し、新たな連携を生み出しながら、価値創出や課題解決につなげていくことも、大学の重要な使命です。
また、北海道という広大な地域に根ざす総合大学として、多様な立場の人々の学びを支えることも本学の大切な役割であると考えています。専門職の高度化に加え、新たな分野に挑戦する学びや、地域課題に向き合う学びなど、それぞれの目的や背景に応じた多様な学びの場を広げていきたいと考えています。
私はこれまで、共同利用設備や研究基盤を活用した全学的・大学間連携の推進に携わってまいりました。先端研究設備や高度な研究資源を、特定の分野や研究室だけのものとせず、学内外へ広く開放し共有していくことで、研究者、技術職員、企業、自治体など、立場や専門を超えた多様な人々が出会い、新たな連携や発想が生まれていく場面を数多く目にしてきました。
こうした共有と連携の実践は、リカレント教育においても重要であると考えています。北海道大学が有する多様な研究資源や人材、そして地域との絆を活かしながら、社会に開かれた学びの場をさらに発展させてまいります。
今後とも、多くの皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
北海道大学は12の学部を擁する総合研究大学であり、その美しいキャンパスは観光地としても有名です。そしてすでにリカレント教育と呼べるプログラムが複数存在していました。私たちリカレント教育ユニットはこれらの資源を活かし、貴重なノウハウをもつ先行プログラムから学び、支援していくとともに、新たなプログラムを立ち上げていきます。
その際、私たちは「研究 Research」をキーワードにしていきます。この言葉は、いわゆる研究室でのアカデミックな活動を指しているわけではありません。ひたすら価値ある知を探求する、そのための方法論を生み出す、自らの活動をメタ的に捉えて協働する、そういった活動を指す言葉であり、あらゆる学びの中心にある言葉なのです。つまり、北大のリカレント教育では、単に既存の今必要とされている知識を受け取るのではなく、主体的に学び、そのための新たなコミュニティを作り出すことを軸に据えていきたいと考えています。
プログラムにおいて重要なことは、北大だからこそ提供できる潜在的な社会ニーズに対応した先端的・学際的なプログラム内容、転用可能な学びの方法論、そして職場・現場に戻った後で周囲に学びを広げられる姿勢・技法です。そして忘れてはならないのは、仕事や生活と両立できる、プログラムを受けやすい制度・環境をつくっていくことでしょう。
これらを実現するためには、教員はもちろん、大学全体があらためて「教育」を再定義する必要があります。逆にいえばリカレント教育という新たな挑戦を通して、本来の大学の教育を取り戻すということかもしれません。従来の大学教育は、さまざまな学内外の既存制度、事務職等の支援といった基盤のうえで、教員は授業だけに専念すればよい、というものだったかもしれません。しかし、リカレント教育においてしばしば耳にする「社会のニーズへの対応」を重要視するならば、企画・広報・支援業務などの、教育プログラム本体に付随する、しかし学ぶ当事者にとっては本質的に重要な要素を一体的にとらえてプログラムをつくっていかざるを得なくなります。なぜならそここそが、大学が社会や受講者のニーズを知ることができる界面だからです。
やるべきことは山積していますが、北海道大学に再び集い、学ぶ皆様のために、スタッフ一同奮励努力して参ります。