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リカレント教育ノウハウ集公開【リカレントニュースダイジェスト vol.10】

文部科学省は、産業成長や地方創生を目的とした令和6年度「リカレント教育エコシステム構築支援事業」に21億円の予算を投じ、産学官連携のプラットフォーム構築を後押ししました。そして、この事業で得られた知見をまとめた「リカレント教育エコシステム構築に向けた、大学向けノウハウ集」が今年3月に公開されました。

本ノウハウ集は、大学が持続的な事業を構築するための実践的な情報を提示していますが、同時にそこからいくつかの課題も見えてきます。以下、ダイジェストで紹介します。

1.マーケットインによるプログラム開発

企業が必要としていること(マーケットイン)を起点としたプログラム設計が強調されており、具体的に、企業の経営戦略や事業課題に直結する「一貫したストーリー」としての設計が求められるとしています。一方で、単なるスキル伝達ではなく、理論と実践の融合や、俯瞰的・中立的な視点の提供といった、大学ならではの付加価値も重要と指摘しています。

2.企業の人事制度・処遇との接続

国や業界の標準スキルフレームワーク(GXSS等)を活用し、人事判断に活用しやすい形で学修成果を可視化することを求めています。また、満足度調査にとどまらず、受講後の行動変容までを評価軸に含めるカークパトリックモデルなどの活用も推奨しています。しかし、リ・スキリングの成果を人事評価や処遇に反映させる仕組みを実際に導入しているのは3割にとどまるという現状が示されています。

3.持続可能なマネタイズ戦略

補助金依存から脱却するための事例として、大学の専門性を活かした高付加価値・高単価のプログラム事例が紹介されています。また、単一の講座で収益を計算するのではなく、オンデマンド教材や新入社員向け研修などを組み合わせ、収益源を多角化する工夫を求めています。

4.全学的な推進体制と「教育の専門性」への配慮

組織体制の構築と、企業営業や学内調整を担うコーディネーター人材が全学的な推進には不可欠としています。

課題

本ノウハウ集では、プログラムを統括する内容の専門家(研究者)や営業担当者(コーディネーター)の役割は明快ですが、「いかに教えるか」という社会人教育・高等教育の手法そのものや、その専門家への視点が薄いという側面が伺えます。教育プログラム開発の知見は、実務担当者が既存業務に付加的に身につけるべきスキルとして位置づけられており、教育学的アプローチを組織的にいかに組み込んで質を担保していくかが、今後の論点と言えるでしょう。

また、マーケットインを強調しつつ、大学が培ってきた価値を重視していますが、それであれば研究、産学連携、地域連携といったそれぞれの背景や専門性をもつ教員や学内組織の動機やニーズをいかにうまく組み込んでいくかが、真の持続的なエコシステム構築の鍵となるでしょう。もちろん、大学側もリカレントを付属的な活動ではなく、今後の大学の根幹に関わる事業と位置づけ、本気で改革をする必要があるでしょう。

参照

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