実施報告:北大道新アカデミー2025後期総合コース
ワインは北から〜北海道の新たなフロンティア〜
北大道新アカデミーは、地域の「知」のために、北海道大学と道新グループが協力して2018年4月に開講した新しい学びの場です。2025年度後期総合コースは、ワインを切り口として、北海道大学北海道ワイン教育研究センターに所属する、農学研究院、地球環境科学研究院、メディア・コミュニケーション研究院の研究者と、水産科学研究院の研究者が、6回の講義を行います。
【講義概要】北海道を世界に通用するワインの産地にする取り組みが、北海道ワインバレー構想です。その拠点となる北海道大学の研究者が、ワインに関わる研究成果を紹介します。講義を聴くとワインの味わいが少し違ってくるかも?
第1回「北海道のワイン:サステイナブルテロワールを目指して」2025.9.20(土)
曾根輝雄教授(北海道大学農学研究院・北海道ワイン教育研究センター センター長)
総合ワインコースの初回の講義は、北海道ワイン教育研究センター センター長を務める曾根輝雄教授が務めました。北海道大学のワイン研究を俯瞰することが目的です。キーワードは「サステイナブルテロワール」です。ワインは収穫したブドウの果汁のみで作られ、その発酵にはブドウに付着した酵母が関係しています。地域の気候や土壌に応じてブドウの種類も変わります。ワインは土地の風土を反映しています。ワイン産業が、地域の食品産業や観光業に波及し、経済効果や雇用効果をもたらし、それらが課題解決につながり地域を持続的にしていくことが、曾根教授の提案する「サステイナブルテロワール」です。2000年まで7軒だった北海道のワイナリーは、2025年9月現在、その10倍以上の、73ワイナリーを数え、都道府県の中では第3位、ワインの生産量は山梨県に次いで第2位になっています。北海道はワインのフロンティアです。一方、北海道のワイナリーの経営やワインの品質はまだ安定しているとはいえません。北海道のサステイナブルテロワールを牽引し、北海道の持続性を高める拠点が、2022年4月に発足した北海道ワイン教育研究センターです。講義では、2024年9月にオープンした有料で試飲のできる「北大ワインテイスティング・ラボ」や、旧昆虫標本庫を改修した「ワイン熟成庫」や、北海道ワインアカデミーの取り組みが紹介され、受講者の関心を集めていました。
