“楽しい”が原動力─CLAPで芽生えた情熱【修了生インタビュー vol.2】
リカレント教育では、学習内容が現在の仕事につながるだけではなく、さらに新たな展開ももたらすことが求められています。その点で、医療AI開発者養成プログラム(CLAP)の社会人向けコースで学んだ、西村一樹さん(北海道大学病院)の体験は参考になります。ぜひご一読ください。

西村一樹さん
医療AI開発者養成プログラム(CLAP)インテンシブコース 2024年度修了生プロフィール: 北海道大学病院 麻酔専攻医。岩見沢市出身。子育て真っ最中の一児の父。2024年度にCLAPインテンシブコース(現・リカレント教育コース)を受講し、成果発表会ではポスター部門で最優秀賞を受賞。
——受講のきっかけを教えてください
私は医師6年目で、麻酔科専攻医として働いています。研修医時代にガイドラインや論文を読んで統計やデータ解析の必要性を感じて、RやPythonといったプログラミングの勉強を始めました。その際に、AIについて興味を持ちました。
そんなとき、北大に勤める妻から「CLAPって知ってる?」と教えてもらいました。医療AIを学べると聞いて、すぐに受講を決めました。
——実際に受講して、どんな変化がありましたか
それまでAIについて本を数冊読んでいた程度で、医療におけるAIについてほとんど理解していませんでしたが、講義では画像診断や創薬、言語理解といった様々な分野の専門家の先生方の話を直接聞くことができました。
すべてを理解できたわけではありませんが、どういう原理で動いているのか、どのように応用されているのか、どのように実装するのか、というイメージを持てるようになりました。医療AIの現状と課題について、専門の先生方の高い視点を知ることができたのも貴重な経験でした。
——受講を通じて、何ができるようになりましたか
Pythonを使って、散布図やヒストグラムをつかって自由にデータを整理したりグラフを作成したりすることが結構できるようになりました。これが思った以上に楽しいですね。
さらに、ディープラーニングの基礎も学び、自分の専門分野に応用して、麻酔薬の投与量を予測するAIモデルを作りました。そしてモデルを使ってシミュレーションを行い、年齢と投与量の関係を定量化して、その成果をまとめて論文にしました。ここまで取り組めたのは、修了後も熱心に指導してくださった平田健司先生のおかげです。心から感謝しております。
——プログラミングの難しさはどうでしたか
自分で書くのは大変でしたが、ChatGPTの登場でそのハードルが格段に下がったと感じています。例えば「Excelのデータの中央地をまとめて表示するPythonコードを作って」と聞くと、ChatGPTがコードを書いてくれる。そこから少し手直しは必要ですし、それほど高くないレベルかもしれませんが、学びながら使うことができます。ChatGPTはすごいなと日々感じています。
——AIを学ぶ意義や今後の目標について聞かせてください
やっぱりなんといってもAIには大きな可能性があると感じています。ワクワクしますね。特に、人間を超える大きなデータ量や計算能力を活かせるのは人間にはない強みだと思います。医療分野でも、ChatGPTのようなツールが登場するのではないかと感じています。これからも学び続けていきたいと思っています。
※本記事は2025年5月24日に開催されたCLAP受講説明会での講演を再構成したものです。