活動報告

10月7日開催「演劇×学校~教育現場における演劇の可能性〜」実施

10月7日、JAPAN LIVE YELL Project in Hokkaido 2023の企画「演劇×学校〜教育現場における演劇の可能性〜」が開催されました。まず冒頭で樋泉実さん(北海道大学 産学・地域協働推進機構 客員教授)が演劇教育とリカレント教育とのつながりをお話した後、第1部で石井路子さん(兵庫県立芸術文化観光専門職大学)が講演しました。石井さんは長年福島県で高校教員として演劇教育にとりくみ、現在は大学で演劇教育を担う人材を育成しています。学習観の歴史的変化と現在の教室の状況をふまえ、心理的安全が確保された演劇教育が重要だと指摘しました。

第2部では北海道の教育現場で演劇に取り組む3名が報告をしました。西村雄一さん(洞爺湖町立中学校 校長)は、学校の目標「協働して、新たな価値を創造する力」を実現するために演劇教育をとりくんでいます。その背景には、同じ場所に住み続け、必然的に協力しあう関係性をつくっていかなければならないという地域の特性があるとのことでした。

次の講演者の小西泰輔さん(立命館慶祥中学校・高等学校 教諭)は演劇部の顧問でもありますが、演劇という言葉は使わず、コミュニケーションの授業を担当しています。普段の「キャラ」とは違う、非日常で演じることができる意義を指摘しつつ、高校への接続が課題とお話しました。

最後の話題提供は、リカレント部の種村剛特任教授です。AIによる人事、ゲノム編集など先端科学技術と社会の問題を、受講生とともに裁判劇として企画・制作し、来場者とともに議論する形式に取り組んできました。また、今年からは学部授業で演劇を通してSDGsを学ぶ授業を始めており、学部授業のなかでの課題と手ごたえを感じています。

講演の後は、清水友陽さん(北海道演劇財団芸術監督)の司会で講演者4名が会場からの質問に答えていきました。演劇家の演劇と学校における演劇の違い、慎重な生徒に対してどのようにスモールステップで演劇での学びに誘うか、といったことが議論されました。

シンポジウムの最後は、種村特任教授のまとめで締められました。「今回あらためて、演劇教育は草の根で盛りあげていくものだと思いました。学校だけではなく、学外の劇団、行政、NPO、さらには指導要領への接続などもあって、それが次の世代に繋がり、学校や地域を変えていく。そのために、まずは演劇と教育をやってみたいと感じてもらえればありがたいし、そういう活動を面白いと思える私たちであることもありがたいことだと思います」

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