実施報告:北大道新アカデミー2026後期総合コース(北大学入門)
北大学入門 - 北海道とともに歩んだ150年、その先へ
北海道大学の起源は1876年設立の札幌農学校にさかのぼり、今年は創基150周年を迎えます。北大は北海道と共にどのような特徴を育んできたのでしょうか。本講座では「北大学」と銘打ち、歴史、建築、自然、フィクションといった多彩な視点から見つめ直します。次の200周年にむけ、大学のあり方について語り合いましょう。
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第1回「歴史をどうつなぐか 北大の建築から考える」 2026.9.19(土)
角幸博 名誉教授(建築史学)
総合コース第1回の講師、角幸博名誉教授は、札幌農学校草創期から北八条キャンパス移転、帝国大学時代のコンクリート建築、近年の保存・活用に至る変遷をたどり、歴史的建築物が「土地の歴史と記憶」を現代に伝える重要な役割を担っていることを語りました。

左)講義をする角名誉教授。右)時計台として知られる旧札幌農学校演武場
1878年に建てられた時計台(旧札幌農学校演武場)は現在、札幌のシンボルになっています。これまで何度も移築が検討されながらも、札幌農学校創設の地である北1~2条西2丁目の一角に残されてきました。角名誉教授は「かつてそこにキャンパスがあったことの唯一の証し」として、現地保存の価値を説くとともに、冷暖房設備の設置といった現代の課題にも言及しました。
また、1903年に移転した現在のキャンパスでは、中條精一郎が通りを軸に左右対称に建築を配置するモール型のキャンパス計画を手掛けたことや、細部にまで意匠が施された古河記念講堂(1909)など、構内に残る建築物の歴史的背景が紹介されました。さらに、関東大震災後に鉄筋コンクリート建築への関心が高まり、美しいアインシュタインドームを擁する総合博物館(旧理学部本館・1929)や、上空からみると「北」の字に見える農学部本館(1935)が建設された経緯なども解説されました。
講義では、歴史的建築物を単に保存するだけではなく、現代にどう生かすかという観点も示されました。創基80周年を記念し、全国からの寄付で建設され、現在も学生の交流の場となっているクラーク会館(1959)や、2023年に北海道ワイン教育研究センターとして改修された旧昆虫学及養蚕学教室(1901)などを例に、歴史の歴史的価値を継承しつつ、新たな役割をつくることの重要性が語られました。
講義の結びに角名誉教授は、これらの建築群に宿る大学の伝統に触れ、「歴史的建築を、人々が語り合い、次のエネルギーになるような場として活用してほしい」と期待を込めました。あわせて大学やメディアに対し、歴史資料の価値を正しく評価し、次世代へ継承する姿勢を求めました。