活動報告

実施報告:北大道新アカデミー2026後期理系コース(獣医学部)

獣医学部創立75周年の知と挑戦

日本の獣医学をリードする北大獣医学部は、2027年に創立75周年という節目を迎えます。犬や猫の小動物臨床をはじめ、感染症対策や食の安全、野生動物との共生など、多様な分野に広がる最先端研究の成果をわかりやすく解説し、暮らしとつながる知識としてお届けします。 


第1回「鳥インフルエンザと私たちの暮らし:正しい知識で正しく対応」2026.9.19
迫田義博教授(獣医学研究院、獣医学部学部長)

 2026年度後期理系の北大道新アカデミーは獣医学研究院に所属する6名の研究者が担当します。第1回は、微生物学・ウイルス学が専門の迫田義博教授が講義を担当しました。

 ウイルスはとても小さい病原体で、生物の細胞の中に入り込んで増殖します。増殖したウイルスが他の生物の細胞にとりつくと感染が生じます。畜産業に大きな影響を与える感染症のほとんどがウイルス感染症です。高病原性鳥インフルエンザもそのひとつです。鳥インフルエンザを北海道にもたらすのは、秋にシベリアからやってくる渡り鳥です。北海道内の鳥インフルエンザの検出と渡り鳥の飛来時期や経路がほぼ対応することがわかっています。
 鳥インフルエンザウイルスは、哺乳動物へ感染する可能性があります。北海道ではアザラシやキタキツネへの感染が確認されています。ヒトにも感染する可能性があります。しかし、うがいやマスクの着用、手洗い、アルコール消毒、死んだり衰弱した鳥や野生動物に触らないなど基本的な対策を行うことで、感染リスクを減らすことができます。
 環境中の鳥インフルエンザウイルス濃度を高める要因にカラスがいます。カラスの体内にウイルスが侵入すると、全身の臓器で増殖します。呼吸器や消化管で増えたウイルスが体外に放出されたり、感染症で死んだカラスを他のカラスや野生動物が食べたり触れたりすることで感染が拡大します。そのため養鶏場へのウイルスの侵入を防ぐ手段として、吸気口のフィルター装着が推奨されています。
 迫田教授は、北大道新アカデミーの受講生に対して、鳥インフルエンザを正しく知り正しく対応することが、動物や人の命を守ることにつながることを伝えました。

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